ビリヤードの魅力に惹かれて上達したいと思うようになると、誰でも練習意欲が湧くものです。練習方法は人それぞれで、一人で黙々とひたすら球を撞き続ける人もいれば、誰かに積極的に声をかけて相撞きを申し入れることを常とする人もいます。さてそれでは、どちらの方が、より有効的な練習方法と言えるのでしょうか。答えは簡単です。どちらも有効的な練習方法であると言えます。ここで問題となるのは、一人での練習時間と、誰かと相撞きする時間とのバランス、そしてその内容なのです。

一人の練習だろうと、誰かとの相撞きだろうと、それを練習であると考えると、上達のために意味のある内容にしなければせっかくの時間が無駄になります。

ビリヤードは競技です。誰かと競い合うものです。上達したいと考えるのも、相手に勝てる技量を身に付けたいという思いからのはずです。そうすると、やはり優先すべきは誰かとの相撞きであると言えそうです。ナインボールなりテンボールなり、誰かとゲームをすることで、自分の現在の力量を試すことができます。また、ゲームに勝つために自分に必要なスキル、足りないスキルは何なのかを明確にできます。相手の優れた点を学ぶこともできます。知りたいと思ったことは素直に質問して教えてもらえばいいのです。そして、それらの情報を基に、一人での練習に取り入れるようにすることが基本的な流れになります。ですから、相手がそこにいるのなら、積極的に相撞きをするようにしましょう。相手のレベルは関係ありません。上級者へ声をかけるのは抵抗があるかもしれませんが、そこは勇気を出してチャレンジしましょう。そして、盗めるものは盗むべきです。

一人の練習で、まっすぐなセンターショットをひたすら続けている人をよく見かけます。これを推奨する人も多いようですが、はっきり言ってあまり意味はありません。練習前の肩慣らしや状態のチェックのために数回程度というならわかりますが、何時間もひたすら続けるのは時間の無駄です。実戦で目の前にする球の配置は、ほとんどまっすぐではありませんから。同じセンターショットでも、振り(角度)や撞点を色々と変えて練習するべきです。ボールをテーブル上にばら撒いて適当に取り切るだけでも、まっすぐなセンターショットを続けるよりは有効です。まっすぐな配置の的球をどれだけ熱心に見つめたところで、振りのある配置での狙いとなる厚みを覚えることはできません。

特別に練習したいメニューがないのであれば、一人の時はボーラードがおすすめです。上達の過程を数字で知ることができます。また、ナインボールやテンボール、ローテーションなどのゲームを一人で行うことも効果的です。続けるうちに、初めて見るボールの配置というものがなくなります。苦手とするショットも自覚できるようになります。おのずと重点的に練習すべきメニューがわかってくるわけです。どんなに難しい配置の球でも、一度でもシュートに成功できれば経験値がアップします。経験値を上げれば実力も上がっていきます。誰かとの相撞きで課題を見つけ、練習で克服し、また新たな課題を見つけて練習する。この繰り返しが無駄のない練習であることを覚えておきましょう。