ポケットビリヤードは的球をポケットしないことには始まりません。ですから初心者は当然ながらシュート練習を重ねます。やがて、ある程度シュート力が身に付くと、ネクストコントロールについて考え始めます。次の的球を狙うためにどこへ手球を出せばいいか、そのためには手球にどのコースを走らせればいいか、またそのためにはどの撞点をどれくらいの力加減で撞けばいいのか。こうして全体の組立てを考えられるようになっていきます。しかし、肝心な手球のコントロールを練習するにはどうすればいいのでしょうか。実戦練習しかないのでしょうか。それとも、あれこれ思いつくままにボールを置いて、地味に一人で練習するしかないのでしょうか。いいえ、そんなことはありません。

手球のコントロールに特化したゲームをすることで、飛躍的にボールコントロールの実力が養えるのです。

ここでは、楽しみながら手球の動きを学ぶことができるゲームをお教えしましょう。もちろん誰かと対戦することもできます。

①スクラッチ・ゲーム
これは名前のとおり、手球をスクラッチさせることで得点となるゲームです。ただし、撞くのは通常の白い手球ではなく、的球として使用しているボールの方です。どのボールからでも構いませんから、通常の白い手球に当ててスクラッチさせるのです。スクラッチさせるのはどのポケットでも構いません。失敗したら交代です。特に細かいルールはありませんから、事前に相手と決めておくといいでしょう。オープニングは白い手球を撞いてブレイクしてもいいですし、ラックの先頭に白い手球を置いて、最初からスクラッチを狙ってもいいと思います。また、慣れてきたら番号順に撞くというルールを加えても面白いでしょう。このゲームには注意点があります。お店によっては、的球を撞くという行為を禁じているところがあります。必ず事前にお店の方に了解を得ることをおすすめします。

②三つ球
これは、手球と的球二つの計三つのボールだけを使ったゲームです。ひとつの的球をポケットしつつ、手球をもうひとつの的球に当てると1点となるシンプルなルールです。その際にはノークッションで当てても、ツークッション、スリークッションで当てても問題ありません。ポケットした的球は、テーブル上の定位置に戻します。そしてもし、もうひとつの的球もポケットできれば3点獲得です。この場合も、的球両方を定位置に戻します。この定位置はあらかじめ、フットスポットとその両隣のポイント、フットスポットから半ポイント下、フットスポットからワンポイント上の計5箇所にチョークで印をつけておきます。ポケットした的球は5箇所の定位置の中から好きなところへ置くことができます。センタースポットは使いません。このゲームによって、手球をコントロールしてもうひとつの的球に当てることが意外に難しいことがわかります。時には直接、時にはクッションを利用してと試行錯誤を繰り返します。不思議なことに、徐々に当てるコツがわかってきます。

これらのゲームを取り入れながら、手球のコントロールを身に付けましょう。特に三つ球は、ネクストコントロールに応用できて実に効果的です。手球を回してポジショニングする際のコース取りには大いに役立つはずです。