ポケットビリヤードのアマチュアトーナメントなどに参加したことのある人なら経験があると思いますが、どうひいき目に見ても上手とは程遠いプレイヤーが勝ち残るケースがあります。相手に恵まれたのでしょうか。運が良かったのでしょうか。いいえ、その人は勝つだけの要件を何かしら持っていたのです。しかし、そのような人は日常のビリヤードでは力を発揮できなかったりします。要するに力が安定していないのです。シュート力、コントロール力、駆け引き能力、集中力などのバランスが偏っているのかもしれません。

上手いと言われるプレイヤーの条件は、すべての能力のバランスが良く、実力が安定していることです。

このような人は、いつどこでプレイしても大きく崩れることがありません。これに対し、強いと言われるプレイヤーは、何かしらの能力に秀でた人のことです。手球のコントロールは今ひとつでもシュート力だけは高い人、運が良くて難球ばかりを相手に残す人、相手との駆け引きだけは上手い人など偏った力を持った人は意外に大勢います。このような人たちは上手いとは言われませんが、試合などでは底力を発揮することがあるのです。

いずれのタイプでもビリヤードが好きなことに変わりはないでしょう。単にセンスの違いです。ここで言うセンスとは、器用か不器用か、才能があるかないかということではありません。人それぞれの価値観のことを言うのです。ビリヤードを構成する要素から何に重きを置くか、どんなところに魅力を感じているか、どんなプレイヤーになりたいのか、これらの感じ方の違いこそがセンスの違いであると考えます。

しかしこのサイトをご覧の方々には、安定した力を身に付けていただきたいと思います。まんべんなくテクニックを磨いて、上手いと言われるプレイヤーになってほしいと思います。パワフルで安定したブレイク、高いシュート力とそれを補う手球のコントロール力、流れをつかむ駆け引き能力、運をも味方につける集中力、これらすべてを鍛えてパーフェクトなプレイヤーを目指してほしいのです。上達のためには気持ちが第一です。好きなだけでは限界があります。好きだからこそ努力するという姿勢が求められるのです。

ビリヤードは、ほぼすべてが自己責任の競技です。ミスがあっても誰も責められません。相手によっては一度も出番がないこともあるでしょう。とにかく悔しい思いを数多く経験するはずです。しかし苛立っていても始まりません。冷静に分析して、相手の優れた点を見つけて取り入れるくらいの気持ちが大切です。悔しさは練習にぶつけましょう。負けたくなければミスをしないで、相手に球を撞かせなければいいのです。ミスをしたら負ける、これくらいの気持ちで挑んでいきたいものです。本当の強さはそうやって養われます。そして、上手いと言われる人は、強さも兼ね備えているものなのです。

いかがでしょうか。ビリヤードの上達にはテクニックだけでなく、メンタル面を強化することが求められます。競技である以上、勝負にこだわって熱意を持続することが大切です。