シュート力とコントロール力は双方のバランスが合致して力を発揮するものです。特に上級者同士のゲームでは、どちらかに頼っている状態ではすぐに限界が来ます。しかし、あえてシュート力とコントロール力のどちらがより重要かを言うとすれば、それはプレイヤー個々の上達具合によって異なることになります。

初心者または、ナインボールでブレークランアウト(ますわり)をした経験がないといったレベルであれば、シュート力向上に力を注ぐべきです。

手球のコントロールはシュート力を補う意味もありますが、シュート力自体を高めれば、より楽に処理することができるはずです。高いシュート力があってこそコントロール力を身に付けることができ、コントロール力があってこそシュート力が活きると考えましょう。このバランスを手に入れる第一歩として、まずはシュート力強化です。

総合的な力を付けるために重要なのは、誰かと相撞きをしてゲーム感覚を養うことですが、シュート力を高めるためには、一人でじっくり練習する時間を設けることも大切です。相撞きと一人の練習、これらをバランスよく両立させることが望ましいと言えます。さて、それではシュート力向上のためにどのような練習をすれば効果的なのでしょうか。答えるとすればただひとつ、とにかく数多く球を撞くことです。ただし、真っすぐなセンターショットばかりを何十回も繰り返すのは意味がありません。真っすぐなセンターショットは、ある程度フォームが固まって安定してきた人が、状態を自己診断するために行うことで意味を持ちます。これからシュート力を向上したいと思っている人は別のメニューを試すべきです。

的球をポケットするために必要な要素は、正しい狙い(厚み)と、そこへ正確に手球を運ぶ感覚です。これらを養うための前提条件として、自然体によるスムーズなストロークが必要になります。ここで勘違いしてはいけないのが、スムーズなストローク=真っすぐにキューを出すこと、ではないということです。キューが真っすぐ出ないからといってあれこれ悩み、奇妙な姿勢のフォームになっては逆効果です。ここで言う自然体とは、身体に無理のない姿勢のことであり、これは傍から見ても格好の良いフォームであるはずです。キューが真っすぐ出なくても、スムーズなストロークさえできていれば、徐々に狙った厚みを捉えることができるようになります。まずは、細かいことを気にせず、振りをつけた配置の的球を数多く撞きましょう。

最初のうちは、それほど遠い的球や薄い的球をポケットする必要はありません。センターショットに振りをつけた程度で構わないでしょう。または、テーブル上に的球をランダムに散らして、順番に関係なく気ままにポケットするだけでもいいと思います。ある程度狙ったとおりにシュートできるようになったら、遠い球や薄い球にも力を入れ、日頃苦手にしている配置があれば、それに重点を置いてもいいでしょう。大切なのは、球を撞く感覚、ポケットする感覚を養うことです。勘と言ってもいいでしょう。一度身に付いた勘はなかなか忘れるものではありません。自分の感覚を信じて、一つでも多くのシュート経験を積んでいくことです。